入退室管理システムでICカードは利用できる?メリット・デメリットや比較する際のポイントも解説

従業員の入退室を管理したいけど、どんなシステムを導入したらよいかお悩みの方も多いのではないでしょうか。入退室管理システムにはいくつか種類がありますが、自社にはどれが合っているのか、どんな認証方法を選ぶべきか分からない方も少なくありません。
ICカードを使った入退室管理システムには、手軽さやセキュリティの高さといったメリットがありますが、注意すべきデメリットも存在します。システムを比較する際には、コストや利便性、セキュリティのバランスをしっかりと考慮することが大切です。
本記事では、ICカード認証の入退室管理システムについて紹介します。ICカードを利用するメリット・デメリットについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.入退室管理システムにおけるICカード認証とは
入退室管理システムとは「いつ」「誰が」「どこ」に入退室したかを管理するためのセキュリティシステムです。ICカードによって入退室を管理することで、誰が入退室したのかを特定して、時間まで把握できます。
入退室管理システムの認証方法は、ほかにも暗証番号・生体認証・スマートフォン認証などの方法がありますが、ICカードは手持ちのものを鍵として使えるところが魅力です。また、紛失しても無効化できるなど、セキュリティ面でも安心できます。
近年、入退室管理システムを導入する多くの企業が選択するICカードの、規格と種類についてみていきましょう。
入退室管理システムに利用できるICカードの規格
入退室管理システムに利用できるICカードの規格は、Felica(フェリカ)・Mifare(マイフェア)・EMカードの3つです。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
Felica(フェリカ)
Felicaはソニーが開発したICカードです。電子マネーやポイントカードだけでなく、クーポンとしても使えます。また、交通系ICカードや電子申請にも使用されている規格です。
Felicaには、以下の特徴があります。
- ・幅広い用途に使える
- ・高速でデータ送受信できる
- ・カード型以外にも対応できる
- ・セキュリティ性能が高い
セキュリティの高さや高速で情報をやりとりできるところから、e-taxによる確定申告や交通系ICカードのSuicaなどでの利用が可能です。
Felicaは用途に合わせて「Felica Standard」と「Felica Lite-S」の2種類から選べます。
Felica Standardはメモリー容量が大きいため、複雑なシステム管理におすすめです。長期間の使用にも向いているでしょう。
また、セキュリティの性能もFelica Lite-Sよりも高いため、金銭を扱うシステムや社員証としての利用にも適しています。Felica Lite-Sは容量が小さいため、シンプルなデータの取り扱いにおすすめです。また、セキュリティも基本的なレベルに限られています。
2種類にこのような違いはありますが、勤怠管理などの利用においては、どちらのシステムを使用しても大きな違いはありません。
Mifare(マイフェア)

Mifareは、オランダの企業が開発した、国際規格に標準化されているICカードです。Felicaに比べてコストがかからないことから、世界で最も普及している規格で、社員証にも多く利用されています。
Mifareには、以下の特徴があります。
- ・比較的安価
- ・拡張性が高い
- ・セキュリティ性は最低限ある
安価で大量生産にも向いており、セキュリティ性も備わっているため、入退室管理システムにも十分対応できます。
Mifareの種類は以下の4つです。
- ・Mifare Classic:低価格が特徴
- ・Mifare Ulitralight:Mifare Classicからセキュリティ機能を除いたもの
- ・Mifare DESFire:Mifare Classicよりもセキュリティ性が高い・システムへの柔軟性が特徴
- ・Mifare Plus:セキュリティ性の高さと互換性の高さが特徴
セキュリティ面と流通度を考えると、Mifare UlitralightもしくはMifare DESFireがおすすめです。
EMカード
EMカードは周波数125KHz帯のチップを搭載したLF帯カードです。水や金属の影響を受けにくいため持ち運びやすく、入退室管理システムでもよく使用されています。ほかの2つと比べるとセキュリティ面が劣るため、実際はFelicaやMifareを使用しているケースが多いです。
ICカードの種類
入退室管理システムは、すでに持っているICカードを利用できます。利用できるICカードの種類は、以下のとおりです。
- ・交通系ICカード
- ・社員証
- ・入館(セキュリティー)カード
SuicaやPASMOなどの交通系ICカードの規格は、セキュリティー性能の高いFelicaになっています。電車を日常的に乗る人の多くが利用しており、スマートフォンと連携することも可能です。
社員証にはFelicaやMifareが利用されています。従業員数の多い会社なら、コストを抑えられるMiifareがおすすめです。しかし、電車通勤の従業員が多くFelicaを持っている人が多いなら、Felicaを選択した方がよい場合もあります。
2.入退室管理システムでICカードを利用するメリット
入退室管理システムにICカードを利用すると、どんなメリットがあるのでしょうか。ICカードの4つのメリットを紹介します。
複製のリスクが低い
ICカードは複製されるリスクが少ないところがメリットです。ICカードにはICチップが搭載されており、識別情報などが高度な暗号化処理されて書き込まれています。そのため、ICチップを簡単には偽造できません。
また、一般的な鍵とは異なり複製できないため、なりすましも防げます。ただし、ICカードに限ったことではありませんが、紛失すると悪用される可能性があるため、厳重に管理しなければいけません。
また、ICカードは個別に権限を付与できるため、所有者によって入室できる箇所を設定することも可能です。
導入コストを削減できる

社員の持つICカードを入退室管理システムで使用できるようにすれば、新たにICカードを発行する手間やコストの削減が可能です。ICカードは電子マネーや交通機関などで利用されているため、キャッシュレス化が進む現代では、利用者が多くいます。
さらに、Felicaを選択すれば、さらなる導入コストの削減も可能です。Felicaはとくに交通系ICカードに利用されているため、使用している社員も多くいます。
社員にとっても、交通系ICカードと入退室のためのICカードが同じなら、複数枚持ち歩かずにすむため、メリットが大きいでしょう。
非接触で衛生的
ICカードはかざすだけで入退室できるため、カードリーダーへの接触は不要です。暗証番号方式ならパスワードを打ち込んで施解錠するため、パッドへ接触する必要があります。しかし、ICカードならカードを近づけるだけで施解錠できるため、衛生的で感染対策にも有効です。
また、ドア前に立ち止まる必要もほとんどないため、入退室もスムーズにできます。
働き方改革に活用できる
ICカードは働き方改革のためにも活用できます。働き改革とは、労働環境の質と生産性の向上を目指す取り組みのことです。働く人個々の事情に応じて、多様な働き方を選択できる社会の実現を目指しています。
ICカードをタイムカードとしても利用すれば、社員がどれくらい働いているかも確認できるため、労働環境改善のためにも役立つでしょう。ICカードは勤怠管理システムとも連携させられます。
このように入退室管理システムと勤怠管理システムを連携することで、サービス残業を減らすことにもつながり、快適な職場環境を目指せるでしょう。また、経理に関しても、反映させれば給与計算の手間も減らせます。
3.入退室管理システムでICカードを利用するデメリット
メリットの多い一方、ICカードには以下のようなデメリットもあります。事前に把握してリスクを減らせるよう対策しましょう。
不正利用のリスク
ICカードがあれば誰でも入退室できるため、不正利用されるリスクがあります。社員Aが入室できない部屋があっても、入室可能な社員BのICカードを社員Aが借りれば入室は可能です。
このように、ICカードは容易に貸し借りできてしまうため、物理的なセキュリティリスクがあります。不正使用のリスクを減らすためには、しっかりとした社員教育が必要です。
紛失・置き忘れのトラブル

鍵などと同じように、ICカードも紛失や置き忘れなどのトラブルが起こる可能性があります。拾った人物が悪用すれば、社員以外が入室できてしまいます。悪用がなくても、紛失によって再発行する手間もかかるでしょう。
これらのリスクに備えるためには、以下の対策が必要です。
- ・自宅に置いて出勤した場合に備えて予備のICカードを作っておく
- ・紛失した場合はアカウントを停止する
ログデータ消失のリスク
入退室のログデータは、消失する可能性があることを考えておく必要があります。システムトラブルによってデータが消えることがあります。勤怠管理システムと連携しているなら、そちらのデータも消失する可能性もあるでしょう。
ICカードを使用した入退室管理システムを利用するなら、ICカード側だけでなく、管理するパソコンのセキュリティ対策も必要です。膨大なログデータは、自社で管理するだけでなく、クラウド上での管理も検討しましょう。
クラウド上にバックアップしておけば、災害時やデータを削除してしまったときでも復元できます。
カード発行・管理の手間
従業員が増えた場合や紛失した場合は、新たなICカードの発行が必要です。また、予備や来客用のICカードを準備しておく必要もあります。
とくに社員数の多い会社は、管理する量が増えるため、管理が煩雑になりがちです。しっかり管理できていないと紛失や悪用のリスクが上がるため、マニュアルを作成するなどの対策が必要でしょう。
このように、ICカードを入退室管理システムに導入する場合は、会社の規模や来訪する取引先の数なども考慮して導入を検討します。
4.入退室管理システムでICカードを利用する際の注意点
ICカードを利用する際には、以下のような注意点があります。ポイントをチェックして再発行の手間やトラブルを防ぎましょう。
重ねて使用しない
ICカードをかざすときは、単体で使用しましょう。ICカードを複数枚重ねてかざすと、データを正確に読み取れないことがあります。入室できるはずの部屋に入れなかったり、出退勤が記録されていなかったりなどのトラブルになりかねません。
また、保管も単体での管理がおすすめです。ICチップは圧力に弱いため、力が加わることで破損し、再発行の手間と費用がかかります。ICカードは丁寧に扱いましょう。
磁気の干渉を避ける
ICカードは磁気を発する物の近くで保管しないようにしましょう。磁気は干渉すると読み取れなくなったりデータが破損したりするおそれがあります。
磁気を発する身近なものは、以下のとおりです。
- ・スマートフォンやタブレット
- ・パソコン・テレビ
- ・電子レンジ・冷蔵庫
- ・オーディオ機器
磁気の干渉を避けるには、スマートフォンケースに収納しないようにしましょう。また、カードが複数枚入った財布にしまうのもおすすめしません。パスケースにほかのカードと一緒に収納する場合は、セパレーターを挟むとよいでしょう。
磁気の干渉だけでなく、高温の場所に長時間置くことも、磁気不良につながります。夏の車内に長時間置く、火に近づけるなどの行為も避けましょう。
管理システムの取り扱い

ICカードにはさまざまな規格があります。これから管理システムとICカード発行を行う場合は問題ないのですが、すでに社員証を発行している場合は、管理システムが社員証の規格に対応しているかを確認しましょう。
また、セキュリティやサポート体制がどこまで充実しているかも、重要なチェックポイントです。機能面だけを重視するのではなく、トラブル時にどこまで対応できるのかも確認しましょう。
5.ICカード認証以外の入退室管理方法
入退室管理はICカード以外にも、暗証番号認証・スマートフォン認証・生体認証などがあります。
暗証番号認証は、設置されたテンキーに暗証番号を入力して解錠する方法です。テンキーの設置は簡単で、導入コストも少なくすみます。一般的には共通の暗証番号を使用しますが、その場合、セキュリティ面で不安があります。
ただし、ユーザー個別に異なる暗証番号を発行できるシステムもあるため、そのようなメーカを選定することをおすすめします。
暗証番号認証を導入する場合は、定期的に暗証番号を変えるなど、セキュリティ対策が必要です。
スマートフォンに専用アプリをダウンロードすれば、スマートフォンを鍵代わりにできます。社員が使用しているスマートフォンをそのまま使用できるため、導入コストを抑えることが可能です。
また、個人の特定も可能なため、社内のセキュリティ面や勤怠管理の面でもメリットが多くあるでしょう。紛失した際も探索できるため、見つからずに悪用されるリスクも減らせます。
ただし、私用のスマートフォンを利用する場合は、スマートフォンの管理や端末を紛失しないための対策を従業員に対して研修などで共有する必要があります。
こちらの記事では、入退室管理によるセキュリティの強化について解説しています。最適なシステムの選び方も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
6.入退室管理システムでICカード認証を導入する流れ
ここでは、ICカード認証を入退室管理システムで導入する流れを紹介します。
運用方法・設置場所の策定
まずは、どのような目的で導入するのかの運用方法と、どこに設置するのかの設置場所を策定します。
部外者の侵入を防ぐためのセキュリティ対策として運用するのか、勤怠管理も行えるようにするかなどによって、どこまでのログデータを取得するのかを明確にしましょう。
運用方法が決まれば、どの扉に入退室管理システムを設置するのかを決定します。予算に合わせて、どの範囲まで設置できるかなども合わせて検討しましょう。
最後に、認証方法を決定します。入退室管理システムは複数の認証方法を組み合わせられます。よりセキュリティを強化するために、ICカード認証と暗証番号認証を併用することも可能です。
導入システムの選定

運用方法と設置場所が決まれば、導入システムの選定に進みます。希望する入退室管理システムをいくつか選択し、それぞれ見積もりを依頼しましょう。
見積もりと合わせて、設置場所に対応できるのかや機能面が希望する運用方法に合うのかなど、条件とマッチするのかを確認して決定します。
システムのセットアップ
導入システムが決まれば、システムをセットアップします。設置した後に運用テストを行い、問題なければ完了です。
7.入退室管理システムを比較するポイント
どの入退室管理システムが自社に合っているかは、以下のポイントを比較すると選択しやすくなります。それぞれのポイントを確認しましょう。
目的
何を管理するために入退室管理システムを導入するのかを考え、システムが自社の目的に合っているかを確認しましょう。
不法侵入防止のためのシステムか、さらに機密情報の保護まで求めるのかなど、目的に応じた運用ができるか確認します。また、勤怠管理もしたいなら、システム同士が連携できるかの確認も必要です。
目的に合っているかの確認は、コストを抑えることにもつながります。不要なものがないシステムを選ぶことで、最小限のコストで求める管理を実現できるでしょう。
規模
利用対象者の数によって、どれくらいの規模になるかを確認しましょう。入退室管理システムを導入するには、対象者すべての登録が必要です。登録は人が行うため、規模が大きいと、その分負担が大きくなります。
導入開始時期までに、設置と登録が間に合うかも選ぶポイントにしましょう。状況に応じて認証方法を見直す必要もあります。
100人程度までの会社なら生体認証でも対応できるでしょう。しかし、何千人もいる規模の会社なら、登録の手間が少ないICカードやスマートフォン認証を選んだ方がスムーズに開始できます。
場所
設置したい場所に対応できるのかも重要です。入退室管理システムには、いくつかタイプがあります。扉に設置するタイプやウォークスルータイプなど、設置したい場所に適しているかも確認しましょう。
設置する場所によって利用しやすい認証方法も異なります。入室時なら暗証番号認証でも問題ありませんが、玄関口ならスマートフォン認証やICカード認証の方がスムーズです。
入退室管理システム「iDoors」であれば、オフィスの規模や目的に応じて導入できます。カード認証だけでなく、顔認証やQRコード認証など、さまざまな認証方法に対応しているため、選択肢の幅が豊富です。
iDoorsでは、安心な工事と安全な入退室管理ができます。既存のドアにも設置可能なため、ドアの取り換え工事は不要です。資料のダウンロードや無料相談を行っているため、あわせてご覧ください。
8.まとめ
入退室管理システムには、暗証番号認証やスマートフォン認証など、いくつか認証方法がありますが、セキュリティ性の高さと利便性、コスト面を考えるならICカード認証がおすすめです。
ICカードはFelica・Mifare・EMカードの3つの規格がありますが、セキュリティやデータ送受信の速さなどを考慮するなら、Felicaをおすすめします。
Felicaは交通系ICカードでも幅広く使われているため、日常的に利用している人が多く、そのまま入退室管理システムに併用することも可能です。新たに発行する手間やコストがかからないため、導入によるトータルコストを抑えられます。
ICカードは、導入コストを抑えられるだけでなく、複製されるリスクが少ない、非接触で衛生的などのメリットが多いのが特徴です。機密情報の漏洩を防ぎたい、外部からの侵入を防ぎたいという目的で導入を検討している企業に適しています。
ただし、不正利用のリスクや紛失・置き忘れのトラブル、ログデータ消失のリスクはともなうため、それぞれ対策は必要です。
入退室管理システム「iDoors」は、顔認証技術とクラウドを活用することで、優れたセキュリティと利便性を実現しています。「誰」が「どこ」へ「いつ」入退室したのかを、クラウドの管理ツールによって、管理者がいつでも確認可能です。
担当スタッフがお悩みをヒアリングし、適切なシステムをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。